それでもあなたは銀行に預けますか?お金を預けるだけで手数料が取られる「口座維持手数料」





三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行のメガバンク3行が、年間数百~数千円の「口座維持手数料」の徴収について検討を始めています。

全国銀行協会の平野信行会長(三菱UFJフィナンシャル・グループ社長)は、2017年12月に行われた定例の記者会見で、「サービスに費やすコストに見合った手数料をいただくというのが、基本的な考え方だと思う」と、慎重な言い回しをしながらも、口座維持手数料導入の必要性について発言しました。

これまでに2度検討されては、結局導入が見送られている銀行の口座維持手数料ですが、またしても導入に向けた検討が行われています。

口座維持手数料とは

口座維持手数料とは、「口座管理料」とも呼ばれ、銀行などの金融機関が口座を維持・管理するために、預金者から徴収する手数料のことです。

欧米の銀行では口座維持手数料を徴求するのが常識となっていますが、日本では無料なのが一般的です。

そのため、給与の振込口座、公共料金の口座振替口座、住宅ローンの支払口座など、さまざまな用途に合わせて複数の金融機関の預金口座を使い分けている人が大半かもしれません。

あまり知られていませんが、預金通帳1冊ごとに毎年200円の印紙税がかかっており、銀行は発行済通帳数分の収入印紙を一括して税務署に納めているのです。

他にも、人件費、通帳の印刷費、顧客が他行の銀行ATMで預金を引き出した際の銀行間手数料(顧客負担は0円の場合でも)などのコストがかかっているので、その分をサービスの対価として顧客に負担してもらうというのが、口座維持手数料の趣旨です。

しかし、オリコンが10~50代の男女合計1,000人へ行ったアンケート調査によると、「銀行口座の維持費用がかかるようになった場合、銀行預金を解約しますか」という質問に対して、41.7%の人が「解約すると思う」と回答しています。

参考:「4割以上が解約を検討」銀行口座維持手数料“徴収”問題の本音|ORICON NEWS

これまでの経緯

大手都市銀行が口座維持手数料の導入を最初に検討したのは、バブル崩壊で資金需要が激減していた平成6年頃です。

しかし、「過剰融資などのバブルのツケ回し」との批判を恐れ、貸金庫の利用料引き上げなどにとどめました。

2度目は金融再編まっただ中の11年頃です。

一部の都市銀行が、夜間・週末のATM利用手数料などを減免する代わりに、口座残高が10万円を下回れば月数百円の手数料を課す新たな預金を始めましたが、預金者の反発などもあり10年ほどで終了しました。

今回検討を始めた口座維持手数料は、企業向けを含む全ての預金口座が対象となっています。

マイナス金利を国民が負担?

銀行は、2016年2月の日銀によるマイナス金利政策の導入によって、金利が低く抑えられ、利ざや(貸出金利と預金金利の差)は縮小し、収益を出しにくくなったため、苦しい経営を余儀なくされています。

口座維持手数料は口座があるだけでお金を徴収できますから、銀行にとっては非常に魅力的であり、喉から手が出るほど欲しい収益源と言ってよいでしょう。

当初、日銀はマイナス金利政策の導入にあたって、国民が直接マイナス金利分を負担することはないと説明していました。

しかし、仮に口座維持手数料が導入された場合には、マイナス金利政策の負担を事実上、国民が負う形となります。

現在、口座維持手数料を徴求している銀行

SMBC信託銀行

日本での個人営業から撤退した米・シティバンクは、預金残高が50万円を切ると月額2,000円の手数料を徴求していました。

その後、シティバンクの個人口座を三井住友フィナンシャルグループが買取り、現在はSMBC信託銀行が一定条件を満たしていない場合に、月額2,000円の口座維持手数料を徴求しています。

りそな銀行

りそな銀行は、2年以上取引がなく、残高が1万円未満の口座を対象に、年間1,296円の口座管理手数料を徴求しています。

普通預金でも実質元本割れするリスク

現在、大手銀行の普通預金金利は年利0.001%です。

元本保証の普通預金でも、口座を持っているだけで年間数千円の口座維持手数料を取られるようになれば、実質元本割れと同じになります。

「投資信託や株式投資なんて、元本保証がないからやりたくない。」と思っている方には、これは残念なお知らせかもしれません。

これを機会に、投資について勉強してみてはいかがでしょうか。

それでも、全額銀行に預けたほうが安全だと思われるのであれば、それは個人の自由ですので、無理に投資を勧めるようなことはしません。

まとめ

口座維持手数料の導入は正式に発表されたものではありませんが、各種報道によると、預金者からの反発や顧客離れを承知で、2018年度中には何らかの形で導入が決まる可能性が高いと言われています。

利用者側は、銀行のサービスが口座維持手数料に見合ったものかどうかを厳しく見極めていく必要があるかもしれません。