iDeCo(個人型確定拠出年金)とは?





iDeCo(イデコ)とは、国民年金や厚生年金などの公的年金を補完するために、自主的に加入することができる個人向けの年金制度の愛称です。

毎月の掛金に応じて、所得税や住民税が安くなるなど、節税効果が大きいのが特徴です。

iDeCoのポイント

掛金、運用方法、受取方法を選択できる

毎月積み立てる掛金拠出額は、自分で決めることができます。

また、投資信託や定額預金などの商品ラインナップの中から、自分の投資スタイルに合わせて運用する資産を決めます。

運用商品の中には、元本が保証されていないものもありますので、運用次第で積み立てた掛金を上回ることもあれば、場合によっては元本を下回る可能性もあります。

さらに、iDeCoで積み立てた資産は、60歳以降に一括で一時金とするか、分割して年金とするか、またはその2つを組み合わせるか、受取方法を自分で選択することができます。

税制優遇を受けられる

掛金積立時、運用時、受取時の3つのステップにおいて、税制優遇を受けることができます。

参考:かんたん税制優遇シュミレーション|イデコガイド

積立時

日本は累進課税制度を導入しており、年収が多い人ほど税率が高くなります。

iDeCoで拠出した積立額は確定申告や年末調整の際に、全額所得から控除することができますので、掛金を拠出した分だけ、毎年支払う所得税および住民税を軽減することができます。

運用時

投資信託などで得られた売却益や分配金、定期預金の利息には20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)の税金がかかりますが、iDeCoで運用期間中に得られた利益には税金がかからないというメリットがあります。

受取時

受取方法を「一時金」「年金」「一時金と年金の両方」のいずれを選択しても、税金の優遇が受けられます。

一時金として一括で受け取る場合には、同じ年に受け取る他の退職所得(勤務先の退職金等)と通算して、「退職所得控除」が受けられ、加入年数に応じて一定額まで非課税となります。

年金として分割で受け取る場合には、退職所得ではなく、雑所得として扱われ、他の公的年金等の収入との合計が「公的年金等控除」の対象となり、65歳未満なら70万円、65歳以上なら120万円までの収入ならば非課税となります。

掛金の拠出

iDeCoでは、毎月決まった額の掛金を拠出するか、年1回以上任意に決めた⽉にまとめて掛⾦を拠出し、60歳まで積み立てていきます。

毎月の掛金は、5,000円以上1,000円単位で上限額の範囲内で設定が可能です。

将来のために、少額から無理なくコツコツ積み立てられるという点もメリットです。

また、年1回掛金の金額を変更することもできます。

職業などによって掛金の上限額が変わる

iDeCoでは、毎月拠出できる掛金に上限があります。

上限となる金額は、職業などによって異なります。

自営業者・学生など (第1号被保険者) 月額6万8,000円
年額81万6,000円
会社員 (第2号被保険者) 会社に企業年金がない場合 月額2万3,000円
年額27万6,000円
企業型DCに加入している場合 月額2万円
年額24万円
DBと企業型DCに加入している場合
DBのみに加入している場合
月額1万2,000円
年額14万4,000円
公務員など (第2号被保険者) 月額1万2,000円
年額14万4,000円
専業主婦(夫)など (第3号被保険者) 月額2万3,000円
年額27万6,000円

運用

iDeCoに加入する場合、iDeCoを取り扱う金融機関(運営管理機関)の中から、自分が加入したい金融機関を1社だけ選び、加入の申出を行います。

参考:運営管理機関一覧|イデコ公式サイト

iDeCoサービスを運営する各金融機関が提供する運用商品のラインアップの中から、自分で運用商品を自由に組み合わせて、掛金の運用を行っていきます。

運用商品の仕組みや特徴などをよく理解したうえで、自分に合った商品を選びましょう。

受取方法

iDeCoで積み立てた資産は、60歳から70歳までの間に給付請求を行うことで、自身の老後の生活設計に合わせて好きな方法とタイミングで受け取りを始められます。

一時金として一括で受け取る 受給権が発生する年齢(原則60歳)に到達したら、70歳になるまでの間に、一時金として一括で受け取れます。
年金として分割で受け取る iDeCoを年金で受け取る場合は有期年金(5年以上20年以下)として取り扱います。
受給権が発生する年齢(原則60歳)に到達したら、5年以上20年以下の期間で、運営管理機関が定める方法で支給されます。
一部を一時金として、残りを分割で受け取る 受給権が発生する年齢(原則60歳)に到達した時点で一部の年金資産を一時金で受け取り、残りの年金資産を年金で受け取る支給方法を取り扱っている運営管理機関もあります。

※70歳までに受取方法を選択されなかった場合には、自動的に現金化され、一時金として給付されます。

その他の給付金・一時金としての受取方法

死亡一時金 加入者等が死亡された場合には、そのご遺族が死亡一時金を受給できます。
死亡一時金の請求には、加入者のご遺族からの運営管理機関への裁定請求が必要となります。
障害給付金 70歳に到達する前に傷病によって一定以上の障害状態になった加入者等が、傷病が続いた状態で一定期間(1年6ヶ月)を経過した場合には、障害給付金を受給できます。
脱退一時金 ・通算拠出期間が3年以下、または個人別管理資産額が25万円以下であった場合。
・最後に企業型年金または個人型年金の資格を喪失した日から2年以内であること。
上記に該当する場合には、例外措置として、60歳以前に一時金として受け取ることが可能ですが、受け取りにあたって税制優遇を受けることはできません。

iDeCoのデメリット

60歳まで積立てた資産を引き出せない

iDeCoの最大のデメリットは、60歳になるまで積み立てた資産を引き出せないことです。

また、途中で解約することも原則認められていません。

手数料がかかる

iDeCoでは口座開設・維持・給付に、それぞれ手数料がかかります。

まず、iDeCoに加入する時に「口座開設手数料」として最低でも2,777円がかかります。

運用期間中には「口座管理料」といって、国民年金基金連合会に年間1,236円、信託銀行に年間768円、加えて運営管理機関に支払う「運用管理手数料」という継続的なコストがかかります。

長期で運用していくことを考えると、運用コストができるだけ安い金融機関を選ぶことが重要になります。

参考:手数料でiDeCo金融機関を比較|iDeCoナビ

ただし、金融機関によって「商品ラインナップ」「商品コスト」「サービス」も異なりますので、それらを比較検討して加入する金融機関を選ぶことが必要になります。