子どもの頃に学校活動で使っていた口座や、学生時代にアルバイト先の指定で作った口座などが、その後使われずにほったらかしになっていませんか?
タンスの奥を整理したら、存在を忘れていた通帳が出てくることがあるかもしれません。
実はあまりニュースにはなっていませんが、2018年の1月1日から、「休眠口座」のお金が公益活動に使われることになっています。
休眠口座とは
休眠口座とは、「休眠預金」や「睡眠口座」とも呼ばれ、長い間引き出しや預け入れなどの取引がされていない、“眠ったまま”の金融機関の口座のことです。
対象となる期間や条件については金融機関によって異なりますが、一般的には、最後にお金を出し入れした日や定期預金の最後の満期日から10年程度経ったもののうち、預金者本人と連絡のつかないものをいいます。
金融庁によると、2014年3月期の休眠預金は1,187億円(払い戻し460億円)、2015年3月期は1,278億円(払い戻し518億円)、2016年3月期は1,308億円(払い戻し565億円)となっており、毎年700億円以上発生していることになります。
休眠口座は、一定の手続き後に金融機関において「雑益」として収益計上されてきました。
ただし、金融機関は、収益計上後であっても預金者から請求があれば支払いに応じています。
2018年1月より休眠預金等活用法が施行
「休眠預金等活用法」(民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律)が2018年1月1日より施行され、2009年1月1日以降にあった入出金等の取引から10年以上、その後の異動がない預金等(休眠預金等)は、預金保険機構に移管され、最終的に「民間公益活動」の促進に活用されます。
具体的には、NPO法人や自治会など、公益活動を担う団体に助成したり融資したりして活用されるとのことです。
なお、休眠預金等が預金保険機構に移管された後であっても、引き続き取引のあった金融機関で引き出し等の対応を行います。
●入出金等の取引から10年以上、その後の異動がない預金等が休眠預金等の対象となる
●休眠預金等になった後も、引き続き取引のあった金融機関で引き出しができる
●休眠預金等の有無、引き出し手続きなどは、取引のあった金融機関が対応を行う
休眠口座の解約方法
休眠口座を解約するには、まず、取引のあった金融機関に連絡をしてみましょう。
金融機関によっては最寄りの支店での受付はしてもらえず、口座のある支店へ来店するように言われる場合もあるので、確認をしてから出向くのが確実です。
その際、必要な手続きについて教えてくれます。
一般的に必要なものは、登録の印鑑、通帳、本人確認書類です。
結婚で名前が変わっていたり、引越しして住所が変わっていたりすると、他に書類が必要になる場合がありますので、金融機関に確認しましょう。
印鑑や通帳を失くした場合でも、本人の預金であることが確認できれば、対応してもらえる金融機関もあります。
ただし、古い口座になればなるほど、解約の手続きに時間がかかり、その日1日では手続きは終わらないと覚悟しておいてください。
特に合併を繰り返している銀行は、たびたびシステムの変更をしていますので、古い口座になると現在使われているシステムには口座のデータがなく、紙ベースでデータが保管されていることもあります。
外部倉庫から紙ベースのデータを取り寄せ、その中から該当の口座の情報を見つけ出し、本人確認をして解約を行うというのは、銀行にとってはとてつもない労力がかかるのです。
また、引越しなどによって、解約したい金融機関の支店が近くにない場合は、現在、口座を持って利用している金融機関から取り立ててもらうこともできます。
ただし、この方法では書類を郵送するための書留料金など実費を支払う必要があるので、口座残高よりも諸経費の方が高くつくということもあり得ます。
わたしが銀行で窓口業務をしていた際の手続きであったのが、通帳を無くしたと思って通帳の紛失・再発行の手続きを行い、その後無くしたと思っていた通帳が発見され、窓口に持ち込まれるというケースです。
無くしたと思っていた通帳には、残高が表示されています。
しかし、実際にはその残高は再発行された通帳へ移されていますので、その通帳は無効な訳です。
こうして、「結構な残高が残っている通帳がタンスの奥から見つかった!」と思って喜んで来店したのに、その口座はすでに解約されていた…ということが何度かありました。
ですので、窓口への来店が無駄足になってしまわないように、古い通帳を見つけたら、一度その金融機関に電話をされて、通帳が有効なものかを確認(本人であれば電話でも教えてもらえるはず)することをおすすめします。
通帳が見つかっても、合併によって銀行の名前が変わっているということもよくありますので、今の銀行名がわからない場合には、全国銀行協会の情報を参考にしてください。
まとめ
実際に休眠口座の活用が開始されるのは2019年秋頃とされていますが、それまでに、休眠口座に対する国民の認知を高めることが急務だと思います。
また、元々はわたし達国民の財産であった年間数百億円にも上る休眠預金等の資金を運用するに当たり、健全で透明性の高い活用の枠組みを構築することができるかが課題となっています。
みなさんの手元に忘れられた口座がないか、この機会に是非確認してみましょう。