2018年、日本は数々の自然災害に見舞われました。
6月の大阪北部地震、7月の西日本豪雨、9月の台風21号に北海道地震。
被害に遭われた方へは、心よりお見舞い申し上げます。
被災地の1日も早い復旧を願い、義援金や寄附金という形で協力したいと考えている方も多いのではないでしょうか。
そこで、今だから知っておきたい寄付金控除の制度について解説します。
寄付金控除の話をすると「節税目的で寄付をするなんて偽善だ」「被災者に対して失礼だ」などと言われる方が少なからずいらっしゃいます。
しかし、私たちがもっとも簡単にできる支援は義援金を送ることです。
その上で、寄付金控除という国が用意した制度を利用するかしないかは個人の自由です。
目次
所得税の寄付金控除制度
被災地に対して2,000円超の金額を寄附した場合、その寄附先と寄附方法の内容によって所得税の寄附金控除を受けることができます。
{その年中支出した特定寄付金額の合計額}-2,000円=寄附金控除額
※特定寄附金額の合計額は所得金額の40%相当額が限度額となります。
つまり、寄付した金額から2,000円を引いた額が寄付金控除として、その年の所得から差し引くことができるます。
仮に、5万円を寄付したとすると、4万8,000円を所得から差し引くことができ、寄付金控除額に所得税率(0〜45%)をかけた分だけ納税額が安くなります。
かなりの高額な寄付をしない限りは、寄付金額合計から2,000円を引いた額が控除額になると考えていいと思います。
しかし、寄付を行ったら何でも控除を受けられる訳ではありません。
少額だから、銀行や郵便局まで振込手続きに行くのが面倒だからと、コンビニや街頭の募金箱から義援金を送る方も多いと思いますが、その義援金が「特定寄附金」に該当するものでなければ寄附金控除の対象とはなりません。
寄付金控除を受けるには、寄付した団体などから交付される受領書等が必要になります。
確定申告で必要となりますので大切に保管しておいてください。
寄付金控除を受けるための寄付先
寄付金控除の対象となる寄付先は以下と決められています。
国または地方公共団体
特定公益増進法人(日本赤十字社など)
参考:義援金・救援金募集日本赤十字」
社会福祉法人(中央共同募金会など)
参考:寄付する|赤い羽根共同募金
認定NPO法人(ピースウィンズ・ジャパンなど)
参考:支援が必要な人々のために、私にできること|国際協力NGO ピースウィンズ・ジャパン
公益財団法人(みんなでつくる財団おかやまなど)
参考:ももたろう基金|みんなでつくる財団おかやま
特定NPO法人や公益社団法人等に寄付をした場合
被災地域の救援活動等を行っている認定NPO法人や、一定の要件を満たす公益社団法人・公益財団法人に対して寄附をした場合は、所得控除か最終的に計算した税金から寄付金控除分を差し引く「税額控除」の適用を受けるか、どちらか有利なほうを選ぶことができます。
どちらかを選択できる寄付については、多くの場合で税額控除のほうが所得税の節税効果が高くなります。
政党等寄附金特別控除
(政党等に支払った寄附金-2千円)×30%
認定NPO法人等寄附金特別控除
(認定NPO法人等に支払った寄附金-2千円)×40%
公益社団法人等寄附金特別控除
(公益社団法人等に支払った寄附金-2千円)×40%
手続き方法
寄付金控除を受けるには、会社員だったとしても年末調整ではできず、確定申告が必要となります。
寄付金控除に関する事項を記載した確定申告書と、寄付金の受領証を持って確定申告へ行きましょう。
国税庁のe-Taxサイトを使うと、簡単に確定申告書が作成できます。
ふるさと納税によって義援金を送る
ふるさと納税を利用して、被災した自治体へ義援金を送ることができます。
ふるさと納税を行った個人は、確定申告によって所得税と住民税の控除を受けることが可能です。
会社員などの給与所得者は、ワンストップ特例制度を利用することができ、確定申告不要となります。
年間5団体以内の自治体に対するふるさと納税であれば、指定の申請書を支払先の自治体に提出することにより確定申告が不要となる制度です。
この制度は、被災地の地方公共団体に設置された災害対策本部に対して支払った義援金にも適用できます。
ふるさと納税というとお礼の品がもらえることが一つの魅力ですが、純粋に寄付だけをしたいなら返礼品を辞退することもできます。
CMでお馴染みのふるさと納税サイトさとふるでは、北海道胆振東部地震で大きな被害を受けた北海道安平町、厚真町を支援するための特設ページもあります。
返礼品を希望しない寄付を申込んだ場合、申込み金額の全額が同自治体に届けられます。
義援金詐欺に注意
大規模な災害が起きると、人々の善意に付け込んだ詐欺が横行することもあります。
実際東日本大震災の時にも、義援金の振込を依頼するような電話や訪問集金などで詐欺が行われた事案も報告されているようです。
なので私自身は街頭での募金ではなく、必ず直接自治体や赤十字などに寄付金を振込みする方法をとっています。
まとめ
大きな災害が起きた時、自分がどのような形で支援すればいいか分からないという方がいれば、義援金という形でお金を送るという手段を考えてみてください。
日本に住む私たちにとって、自然災害の脅威は避けては通れないものです。
実際私も、大阪北部地震発生時と台風21号が関西を直撃した時には大阪にいたので、その脅威を目の当たりにしました。
この時、明日には自分が被災者になるかもしれないということを改めて感じ、今こうして当たり前の日常を送れていることが幸せなんだと思いました。
その思いから、被災地の方たちが1日も早く元の生活に戻れるよう少しでも力になれたらと思います。