注目される要人発言





要人発言とは、金融政策を担っている中央銀行の総裁やその関係者、国の経済政策を担っている政治関係者の発言を主に指します。

要人発言が注目されるのは、彼らの発言から景気の現状や見通し、今後の金融政策が示され、結果として相場が動くことがあるからです。

2種類の要人発言

要人発言には、金融当局者の発言と、政治関係者の発言の2種類があります。

各国中央銀行当局者の発言

金融当局者は、利上げの時期やペース・物価動向やインフレ懸念などについて「市場と対話」することを意図に発言していますが、時に相場を大きく変動させることもあります。

FRB議長、理事

FRBとは、Federal Reserve Boardの略で、連邦準備制度理事会というアメリカの中央銀行です。

FRBのトップである議長は、FOMC(米連邦公開市場委員会)が開かれた後などに定期的に発言する機会も多く、為替相場に大きな影響を与えます。

FXニュースでは、「FRB議長の発言待ち」という表現が使用されるほどで、たいてい予想通りの結果が出る政策金利の発表よりも、議長の発言を待つ相場関係者も多く、発言が注目されています。

アメリカのFRBとは

2018年1月22日

日本銀行総裁、副総裁

日銀の政策決定会合後に行われる日銀総裁の会見での発言次第で、円相場が大きく動くことがあります。

ただし、日銀総裁の発言は海外勢には注目されておらず、市場が反応薄であることもしばしばです。

2015年6月10日に、ドル円が124円台後半から125円台を伺う展開になったときに、黒田東彦日銀総裁が「これ以上の円安はありそうにない」と円安牽制ともとれる発言をしたことで、ドル円相場が一気に急落したということがありました。

黒田総裁は「円安の限界点を設けたことは一度もない」と否定しましたが、125円は「黒田シーリング」と呼ばれ、その後の相場でも意識される水準となりました。

ECB総裁、理事

ECB(欧州中央銀行)は、ユーロ圏経済の最高意思決定機関であり、EUの金融政策を担うので、トップである総裁の発言がユーロ相場に大きな影響を与えることもあり、注目されます。

各国トップの発言

為替レートは、その国の輸出や輸入といった経済に与える影響が大きく、政治的にも様々な思惑が絡みます。

そうした背景から、政治家が為替レートについて言及することも多く、それが原因で為替レートが急変動するということも少なくありません。

アメリカ大統領

アメリカ大統領がドルについて発言した場合、世界の為替相場に大きな影響を与えます。

2017年4月12日、トランプ大統領が米紙ウォールストリート・ジャーナルのインタビューで、「ドルは強くなりすぎている」と述べたことで、ドル安が一気に進んだということがありました。

アメリカ大統領の発言は、世界中の要人発言の中で最も影響力があると言っても過言ではありません。

日本の総理大臣

日本の総理大臣の発言も、一定の影響力を持ちます。

ドイツの首相

ドイツはユーロ圏のGDPの約3割を占めています。

そのため、ドイツはECBの中でも圧倒的な力を持っており、首相の発言も影響力があります。

要人発言が及ぼす影響

経済の見通しについて

経済について強気な見方を示す発言があれば、景気が良いということを要人も認めたことになります。

物価に関する発言

物価が適正水準よりも高いという旨の発言があれば、インフレ抑制のため、近々利上げを実施する可能性があることを示唆しています。

反対に、物価が適正水準以下という旨の発言、景気後退を防ぐため、近々利下げを実施する可能性があることを示唆しています

その他

企業の雇用状況(賃金、求人、失業に関する発言)、原油相場、金利に関する発言などがあります。

とはいえ、事前に予想されていたり、誰もが思っていることであったり、誰も気に留めていない内容に要人が言及したとしても、価格変動要因にはなりません。

常に情報をチェックする

FX取引をする場合、要人の発言には常に注意しておく必要があります。

上昇トレンドが続いている相場で、突然急落したという事態が起きた時、確認してみると要人の発言があった、ということはよくあることです。

要人発言は、事前に発言のスケジュールが決まってることが多いので、予定のチェックは欠かせません。

FX会社が提供するツールでは、インターネットニュースや速報を伝える機能もあり、要人発言の情報は簡単に手に入りますので、常にチェックする習慣を付けましょう。