お金は、私たちが生活していく上で欠くことのできないものです。
当たり前のように使っているお金ですが、そもそも「お金とは何か?」について考える機会は少ないかもしれません。
そこで、経済学の視点からお金の持つ機能について解説します。
お金が持つ3つの機能
普段、私たちは特に意識することなく、次の3つの機能を使っています。
価値の保存機能
お金はモノと違って腐ったり、蒸発してなくなったりすることもないので、その価値はいつまでも変化しません(100円はずっと100円)。
お金を持ち続けていれば、現在保有している価値を、将来まで保存することができるという機能です。
交換機能(決済機能)
お金を支払うことにより、モノやサービスと交換できたり、それらの価値に対して報酬を支払う手段としての機能があります。
お金は簡単に持ち運ぶことができますし、お金がモノとモノとの交換を媒介することで、経済活動が効率よく、活発に動くことができます。
価値の尺度機能
価値の尺度(ものさし)とは、物の価値を表す基準のことです。
物々交換の世界では、例えばリンゴ2個とバナナ1房を交換するなど、モノの価値の基準に統一性がなく、何と何を交換するのかよくわかりません。
「リンゴ1個100円」、「バナナ1房200円」のように、モノを金額という尺度で評価することで、モノの価値を相対的に表すことができます。
このように、お金はモノやサービスの価値を決める共通の尺度としての機能があります。
●価値の保存機能・・・将来使うために保存しておくことができる機能
●交換機能・・・支払手段としての機能
●価値の尺度機能・・・モノの価値を表す機能
お金を持つ動機とは?
経済学者であるケインズは、お金(貨幣)を持つ動機(貨幣保有動機)を3つに分類しました。
取引的動機
財やサービスなど、何かを購入するのために、貨幣を持っておくことを意味します。
日常生活において、お買い物をするために持っているお金のことです。
予備的動機
将来の不測の支払いに備えるために、手元に貨幣を置いておくことを意味します。
何かあった時のために、お財布に現金を多めに入れておくのも、予備的動機と言えます。
投機的動機
将来の債券の値下がりに備えて、資産として貨幣を保有することを意味します。
タンス預金のように、お金をただ持っているだけでは当然利息は付きませんが、債券価格が低下したタイミングで、債券を購入しようと考えており、その時のために、流動性の高い貨幣として持っておこうとする考えです。
反対に、債券の価格が上昇すると、購入を見送って貨幣で持っておこうと思うはずです。
●取引的動機・・・日常の取引を行うため
●予備的動機・・・不測の事態に備えるため
●投機的動機・・・将来、債券を購入するため