意外と当たる?FXのアノマリー





アノマリーとは、明確な理論や根拠が存在するわけではないのに、高い確率で当たる経験則のことをいいます。

要するに、「よくわからないけど、そうなる」というものです。

「猫が耳の後ろまで顔を洗うと雨が降る」というのに近いです。

為替相場の世界には、アノマリーが多数存在します。

このアノマリーを完全に信じてトレードをすることは危険ですが、相場の傾向をうまく表しているものもありますので、無視できません。

そこで、ドル円に関する有名なアノマリーを紹介します。

ゴトー日

ゴトー日とは、5と10の付く日ことをいいます。

具体的には、5日、10日、15日、20日、25日、30日のことで、この日が休日に当たる場合は、前日が実質的なゴトー日となります。

東京時間に取引を行うときに気を付けるべきことが、「仲値(なかね)」と呼ばれるものです。

各金融機関は9時55分の為替レートを基準にして、その日の顧客との外国為替取引の際の基準レート=仲値を決定します。

日本の輸入企業が、取引先へ支払いを行うのはドル建てがほとんどです。

この支払いの決済日は5と10の付く日に多いので、ゴトー日になると金融機関の保有するドルが不足してしまいます(仲値不足)。

この仲値不足を解消するために、金融機関は外国為替市場を通じてドルを調達(ドル買い)をする必要があるのですが、金融機関としては少しでも仲値を高くした方が儲かるので、仲値決定までに、ドルが上昇する前の安いレートでドルを大量に仕入れます

そのため、銀行のドル買い=ドル高となるため、ゴトー日の9時55分に向けてドル円相場はドル高・円安方向に上昇していくことになります。

輸入企業などの実需筋の売買は、実際に外貨両替が必要で取引を行うので、ある程度の規則性を読むことができます。

この実需筋の動きを、投機筋が利用することで、一定の規則性が生まれるのです。

ジブリの法則・ジブリの呪い

これも有名な、都市伝説的なアノマリーなのですが、金曜ロードショーでジブリ作品が放映されると、その日または翌週月曜日の相場が荒れるというものです。

特に、アメリカ雇用統計の発表と、ジブリ作品の放送日が重なると大荒れになるとも言われています。

この法則は、アメリカのウォールストリートジャーナルで取り上げられたこともあります。

参考:日本の株・外為投資家が身構える「ジブリの呪い」|WJ

これには全く根拠がないのですが、アメリカ雇用統計発表の日は、為替相場は大きく変動しやすいので、ポジションを極端に傾けたりせず、慎重にトレードをするに越したことはありません。

月ごとの季節要因

為替相場は、月ごとの季節要因によっても一定の法則で変動することがあります。

1月

1月の為替レートは、その年の高値か底値になりやすい傾向があります。

これを「1月効果」(ジャニュアリー・エフェクト)と呼び、1月の相場の方向性が、その年の年間を通してのトレンドになりやすいと言われています。

これは、1月が欧米企業の期初に当たる(日本企業の期初は4月)ので、新年度に入り、投資家が新たなポジションを持つからだと考えられます。

2月

2月は1月の流れを引き継ぎやすいという傾向があり、輸出企業の社内為替基準値が決まる月でもあります。

また、節分(2月3日)頃に天井の値を付けやすいとも言われています。

3月

3月は最も値動きが激しい月だと言われています。

日本企業が決算期を迎える月なので、外貨を円に替える必要があり、円高になる傾向があります。

4月

日本では企業の新年度が始まる月です。

これにともなって、新たな外貨投資が始まることでドル高円安になりやすい傾向があります。

また、ゴールデンウィークで日本人の海外旅行が増えるため、旅行資金を円から外貨に替えますので、円安の動きが出やすいです。

5月

「Sell in MAY(セルインメイ)」というアメリカの株式市場の相場の格言があるように、5月は株安、ドル円も下落方向へ向かいやすいとされています。

6月

6月はドル円と相関関係が高い、アメリカの10年国債金利が年間の天井か底を付け、転換点を迎えることが多いと言われています。

この影響を受け、ドル円相場も転換点を迎えるという傾向があります。

7月

アメリカでは、7月に株価が上がりやすいという「サマーラリー」という言葉があり、株価上昇に連動してドルが買われ、ドル高円安方向に動きやすいという傾向があります。

これは、夏休みに入る前に、投資家が株式を買いだめするからだと言われています。

7月の後半になると、夏休みに入る投資家が増えてくるため、徐々に相場が閑散としてきます。

8月

8月は夏休みで市場参加者が減り、相場も大きく動かない傾向があります。

夏の相場の閑散期を「夏枯れ相場」とも言います。

日本勢がお盆休みに入る時期を狙って、海外勢が売りを仕掛けてくるようなこともあり、お盆にかけてはかなりの確率でドル円は下落する傾向があります。

また、実需筋がお盆休みに入る前に、為替変動のリスクを避けるために、ドル売り円買い(ドル安円高要因)の為替予約が入りやすいとされています。

さらに、毎年8月15日に米国債券の利払いが発生しますので、巨額の債権国日本は、円に換金→円高という方向に進みます。

結果、8月は高確率で円高に触れやすいとされています。

9月

日本企業が中間決算を迎える月なので、外貨を円に替える必要があり、円高になる傾向があります。

また、9月は大相場になりやすいと言われています。

過去を遡ると、プラザ合意が行われたのも、リーマンショックが起きたのも9月でした。

10月

アメリカでは「10月効果」という言葉があり、10月はアメリカの株価が安値をつけやすいとされています。

また、10月は暗黒になるとも言われています。

歴史的株価暴落が起きたのも、1929年10月24日の「暗黒の木曜日(Black Thursday)」、1987年10月19日「暗黒の月曜日(Black Monday)」でした。

株安に連動して、ドル安円高になる傾向があります。

11月

代表的な投機筋であるヘッジファンドは、11月末を決算期末としているため、11月にポジションを一旦手仕舞いします。

また、アメリカの感謝祭の休暇を前に、調整が入りやすく、相場が反転しやすくなる傾向があります。

その結果、相場は反対の方向(円安→円高)(円高→円安)に動きやすくなると言われています。

12月

欧米企業の決算期がありますので、利益を一旦ドルに替えるため、ドル高円安に振れ易いという傾向があります。

クリスマスになると、投資家は休暇に入りますので、取引は閑散としてきます。

まとめ

ここで紹介したアノマリーは、テクニカル分析やファンダメンタル分析のような「分析」と呼べるような高いレベルのものではありません。

あくまで、その傾向があるというものです。

しかし、相場の経験則として、頭に入れておいて損はありません。