5分でわかる!アメリカが直面する「債務上限問題」とは





アメリカの「債務上限問題」が、たびたびニュースを騒がせることがあります。

債務上限問題とは

アメリカには、政府がむやみに債務を膨張させないように、国債を発行して借り入れられる上限の金額を定めたリバティボンド法(Liberty Bond Act)という法律があります。

この上限額のことを、「米国債上限」または「米国債シーリング」といい、現在は約20兆ドルと定められています。

その上限を超えることはできず、実際の借り入れ額が上限に達すると、その都度、議会の承認を得なければなりません。

議会の承認を得られず、債務の上限を引き上げられない場合、過去に発行した国債の償還や金利の支払いができなくなり、政府はデフォルト(債務不履行)に陥ることになります。

アメリカは、政府の収入よりも支出の方が圧倒的に多いという借金大国です。

米国政府は財政赤字を支えるために、年々米国債を発行して借入をする必要があります。

では、その米国債は誰が買っているのかというと、日本と中国です。

参考: 米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)|米財務省

ですので、アメリカの債務上限問題は日本にとっても無関係ではないのです。

債務上限を引き上げられないとどうなる?

もし、議会で債務上限の引き上げが認められなければ、米国がデフォルト(債務不履行)と、政府機関の閉鎖という2つの危機を迎えることになります。

債務上限引き上げは、財政健全化の観点からは好ましいことではありませんが、これらの危機を避けるために、実際には債務上限は、1940年以降100回以上引き上げられています。

ただ、自身が経営する会社を4度も破産させたトランプ大統領なら、意図的にデフォルトを起こし、借金を踏み倒すという可能性もゼロではありません。

そして、与党・共和党と野党・民主党の対立、共和党内の保守強硬派の存在、議会とトランプ大統領の対立という問題が事態をさらに複雑にしています。

アメリカがもし本当にデフォルトに陥ったら、世界経済が大混乱になるなど、影響ははかり知れません。

30年前の米国債の満期償還問題

債務上限問題に絡んで、もう一つの問題があります。

それが、30年前に発行された大量の国債の満期償還です。

1980年代の半ば頃、当時のレーガン大統領は大量の米国債を発行しました。

国債の発行により借り入れた資金によって、社会保障支出と軍事支出の拡大により、経済を発展させる「強いアメリカ」政策を推進したのです。

そのとき発行した30年国債の満期償還が、2017年から次々と到来しています。

ただでさえ、米政府の借金が巨大化してピンチの中で、大量に償還期限を迎える長期国債によりデフォルトに陥るかもしれないという危機が、今まさに起きているのです。

まとめ

定期的に債務上限の問題は起きますが、その都度上限は引き上げられていますので、ある意味市場はこの問題には慣れっこになっています。

しかし、問題が先送りされているだけで、何の解決にもならず、そうしている間にもアメリカの債務はどんどん膨らみ続けています。

「絶対にそんなことは起こらないだろう」と思っていたことが起きた時のリスク管理については、常日頃から徹底しておく必要があります。