原油価格と通貨の相関関係





原油の価格は、世界各国の需給量や政治的要因、その他さまざまな要素によって日々変動します。

原油価格の動向は、WTI原油先物価格を見るのが一般的です。

この原油価格の変動は、為替相場にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

原油価格の米ドルへの影響

原油は主に産業用燃料として製造、輸送現場など多くの場面で必要になります。

その原油は、基軸通貨である米ドル建てで取引されているため、原油価格の変動は米ドルにも大きな影響を与えます。

一般的に、原油相場と米ドル相場は逆相関(反比例)の関係にあると言われています。

米ドル高は原油価格の下落要因、米ドル安は原油価格の上昇要因

原油安は米ドル高要因、原油高は米ドル安要因

米ドル高は、アメリカの経済にとってはマイナス要因となります。

また、NYダウはエネルギー関連株の寄与度が高いので、米ドル高・原油安となれば米国株の下落要因となり、株価にもネガティブな影響を与えます。

しかし、原油の需要が高まっている場合などには、一概にはこの逆相関関係が当てはまらない場合もあります。

原油価格の円への影響

原油安・ドル高はNYダウの下落要因となり、米国株の下落は投資家をリスク回避姿勢へと向かわせるので、「逃避先」として安全資産と言われる円が買われやすくなります。

その結果、原油安になると円高方向に進みやすくなります。

また、原油安になれば原油の輸入国である日本は、輸入コストの低下により貿易収支(輸出ー輸入)は良くなりますので、これも円高要因となります。

原油価格の資源国通貨への影響

カナダ、オーストラリア、南アフリカなどの天然資源の豊富な国の通貨を「資源国通貨」と呼びます。

資源国通貨の相場と原油相場は正の相関関係にあることが多く、資源国通貨にとって原油価格の上昇は プラス材料、原油価格の下落はマイナス材料となります。

OPECとは

OPECとは、石油輸出国機構(Organization of the Petroleum Exporting Countries)の略称で、石油の価格維持や生産調整などを目的として結成された国際機構です。

現在の加盟国は12カ国で、定期的に総会を開いて、加盟国の原油の生産量を調整しています。

OPEC加盟国が世界の原油の半分以上を生産していますので、OPEC総会での発言が、為替相場に影響を与えることがあります。