女性の方が「優れた投資家」であることが判明?





米大手通信会社ロイターが、「男性よりも、女性の方が優れた投資家であることが判明した」とのコラムを掲載(2017年6月7日配信)しているのを見つけました。

取り上げたのは、米大手投資会社、フィデリティ・インベストメンツが、2016年1月から12月にわたる顧客の投資・貯蓄動向を分析した調査結果です。

男性よりも女性の方が多くの利益を稼ぐ

フィデリティ社が、800万件を超える証券口座を調べたところ、男性顧客の年間平均リターン率が6.0%であるのに対し、女性顧客は6.4%となっていて、女性は男性よりも年間0.4%も高いリターンを得ているということです。

わずか0.4%の差だと考えると大したことないように思えますが、生涯にわたる貯蓄と投資の累計で見ると、その差は歴然としてきます。

記事では、例えば年収5万ドル(約550万円)の女性・男性顧客が、大学を卒業後したての22歳から投資を始めた場合、平均的な昇給・昇進をして定年を迎えるまでに、女性の方が男性よりも資産残高が25万ドル(約2,750万円)以上上回ることになると試算しています。

生涯にわたる貯蓄と投資の推定額を見ると、定年時の格差は決して小さくないと言えます。

世間の印象は?

女性とお金に関するフィデリティの別の調査では、一般的な世間の印象についてさらに興味深い結果が出ています。

投資に優れているのは男性か女性かについて回答者に尋ねたところ、女性と答えたのはわずか9%だったというものです。

記事の中では、フィデリティ社で女性投資家を担当する上級副社長のアレキサンドラ・タウシッグ氏が、「男性の方が優れた投資家だという神話は、ただの神話にすぎない」とも話しています。

女性が優れた投資家である理由

では、女性の方が優れた投資家であると考えられるのはなぜなのでしょうか。

取引回数が少ない

フィデリティ社の調査によると、女性よりも男性の方が35%多く取引をする傾向にあるという結果が出ました。

これは単純に、手数料が女性より男性の方がかさんでいるということです。

性別の差だけではなく、個人の性格によるところも大きいと言えますが、取引回数が男女でこれだけ大きな差があるというのは興味深いです。

わたしの経験上の話ですが、女性は1つの金融商品を買ったら、忍耐強く、ずっと持っている傾向があると思いますので、この調査結果にはうなづけました。

リスクを分散させる

また女性は、株式だけに投資しないなど、リスクを分散させる傾向があるという結果もでました。

女性は男性よりも、さまざまな資産で構成される長期的なバランス型ファンドといった商品に投資しているということです。

長期目線での投資

さらに女性の方が、職場の確定拠出年金や個人年金、そして証券口座において、年間1%ほど多く貯蓄していることが明らかになりました。

これは女性が本質的に、将来のリスクに備えて、長期的な視野で投資に取り組む傾向にあるからだと考えられます。

投資は短期間でお金を儲る手段ではなく、子供の教育費や、老後の生活費のために投資を行っているのです。

まとめ

今回紹介したロイターの記事だけでは、女性の方が男性よりも優れた投資家だと断定することはできません。

なぜなら、投資がうまくいくか、いかないかは、やはり最終的には個人の性格が関係してくるからです。

ただ、女性の方が投資家に向く特徴があるというのは、個人的には納得できる点もありました。

男性でも女性でも、優れた投資家になるためには、自分の性格や特徴を知って、投資に向き合っていくことが大切だと思います。