キャリートレード





キャリートレード

キャリートレードとは、国によって違う金利の差に着目し、金利の低い国の通貨を借りて資金調達し、金利の高い国の通貨を買うことをいいます。

円は、日本銀行による量的・質的金融緩和により金利が低く、キャーリートレードに適した通貨と言えます。

日本が長らく低金利政策を行っている一方で、アメリカでは徐々に利上げが行われ、ユーロ圏でも金融政策の”出口”が意識されている今、円キャリートレードが注目されています。

FXでは低金利の円を売って、高金利のオーストラリアドルやニュージーランドドルを買い、スワップポイントを受け取るという円キャリートレードが人気になっています。

最近では、トルコリラや南アフリカランドも高金利通貨として人気があります。

キャリートレードの注意点

カントリーリスクのある国の通貨の場合、高い金利を受け取ることはできますが、激しいインフレが起きると通貨の価値そのものが下落してしまうので、投資としてはマイナスの結果になってしまうことがあります。

アフリカのジンバブエという国で、実際に起きたハイパーインフレの例があります。

2000年代初頭、ジンバブエ政府は景気後退による財政赤字を穴埋めするために、中央銀行に大量の紙幣を発行させました。

その結果、紙幣の価値が大幅に下落しました。

2007年7月には、月間インフレ率が前年比7634.8%に達し、2009年1月には、パン1斤の値段が3000億ジンバブエドルになるという事態に陥りました。

ジンバブエドルは、文字通り「紙くず」になったのです。

もし、ジンバブエの金利が年率100%だからといって、円を借りてジンバブエドルに投資していたら、受け取る金利を上回るスピードで通貨の価値が下落していたことになります。

運用先の選定を、カントリーリスクを考慮せずに、金利が高いという理由だけで決めてしまうのは危険だということです。

キャリートレードの巻き戻し

リーマンショックなどの経済危機や、東日本大震災などの大災害が起きると、日本の企業や投資家が海外で運用している外貨建ての資産が一斉に売られ、円が買い戻されるため、円高が急速に進んでしまうことがあります。

これを「円キャリートレードの巻き戻し」といい、キャリートレードの逆転の現象が起きることになります。

いったんこの動きが進むと、凄まじい勢いで円高が進むことになります。