メジャー通貨の特徴





FXで取引されることの多いメジャー通貨の特徴と歴史について、基礎知識として押さえておきましょう。

円(JPY)

日本円にはリスクオフ通貨という特徴があります。
投資家の心理が悪化すると相場がリスクオフ(リスク回避)になり株や新興国通貨から資金を引き揚げて、相対的に安全資産である円が買われるという傾向にあります。

ではなぜ、円が安全資産と呼ばれるのでしょう。

それは、日本が債権国であるということが一因です。

2016年末時点での日本の対外純資産残高(日本の政府や企業、個人が海外に持つ資産から負債を差し引いた金額)は約349兆円となっており、日本は26年連続で世界最大の債権国となっています。

そのため、リーマンショックなどの金融危機や大きな災害が起きると、日本の金融機関や投資家が、海外に持っている株や債券などの資産を売り、円に変換するのです。

これを、リパトリエーション(リパトリ)と言います。

東日本大震災は日本の経済にとっても大きなダメージとなりました。
本来であれば、日本で大きな災害が起きたときには、「災害に見舞われた国の通貨」円は売られるだろうと考えますが、実際には円は買われ、円高方向に動きました。

理由は、保険会社の円買い需要にありました。
保険会社は海外に大量の資産を保有していますが、巨額の保険金の支払いに備え、海外の資産を売って円に換えたのです。

また、円には流動性もありますし、日本は政治的にも安定しており、クーデターなども起こりませんので、安全資産として好まれる傾向にあると言えます。

有事の円買い

さらに、昨今の北朝鮮情勢の緊迫化の中でも、北朝鮮と地理的に近い日本の円は買われました。

これは、「有事の際には円は買われる」というイメージがあるため、今回も円高になるだろうと予想した投資家が、反射的に円を買ったという、投機的な理由が一因だと考えられます。

有事になると円高になるだろうから、今の内に仕込んでおこうという投資家心理です。

米ドル(USD)

言わずと知れた、世界の基軸通貨ドルです。
外国為替市場では約9割がドルに絡んだ取引といわれています。

また、世界の通貨は米ドルを中心にして交換レートが決められています。

基軸通貨ドル

アメリカは世界最大の経済大国であり、その軍事力、政治力により世界をリードしています。

米ドルの流通量は世界第1位であり、基軸通貨として貿易の決済や投資に広く使われています。

ユーロ(EUR)

ユーロはEU加盟国28カ国中19カ国で導入されている通貨であり、ドルに次いで流通量の多い通貨です。

ユーロもドルと同じく、相場の動きやニュースなどの情報が得やすいため、投資判断がしやすい通貨と言えます。

ユーロ経済の中心はやはりドイツですので、ドイツのニュースや経済指標を中心にチェックをしましょう。

ユーロが抱える問題

現在、世界第4位の経済大国であるドイツや、経済規模の大きいフランスなどの先進国と、多額の債務を抱えて、経済危機が叫ばれるギリシャなどの国との、加盟国間の格差を発端としたユーロの通貨としての不安定さが浮き彫りとなり、問題となっています。

ポンド(GBP)

イギリスのポンドは19世紀には基軸通貨として使われてきました。
第1次世界大戦後に米ドルにその地位を奪われましたが、主要通貨の一つとしてFXでは人気があります。

ポンドの特徴としては、値動きの幅が大きく、非常に急激に荒い動きをすることが挙げられます。

そのため、プロのディーラー好みと言えます。

なぜ、ポンドの値動きが荒いのかというと、ポンドは商取引で使われる割合が低く、投機目的での取引の割合が大きいからです。

イギリスのEU離脱

2016年6月24日に、イギリスは国民投票により、EUを離脱することを決定しました。
市場関係者の多くは「EU離脱はまずないだろう」と予想していたため、思わぬ結果に、当日のポンド相場は急落しました。

今後のポンド相場の行方と、イギリスとEUとの関係に世界中が注目しています。

豪ドル(AUD)

オーストラリアドルはオージーとも呼ばれます。

豪ドルは高金利通貨として人気があります。

オーストラリアの政策金利は、近年下がってきてはいるものの、2017年9月現在1.5%ですので、スワップポイント狙いで円を売って豪ドルを買い長期で保有している日本のFXトレーダーも多くいます。

豪ドルが高金利通貨である理由

オーストラリアの中央銀行であるオーストラリア準備銀行(RBA)は、世界の投資マネーを集めるために、金利を高く設定してきました。

2011年からは金利の引き下げを行っていますが、それでも先進国の中ではかなり高い水準にあります。

また、オーストラリアは鉄鉱石や石炭などの鉱物資源が豊富であり、世界有数の資源国です。

そのため、豪ドルはコモディティ(鉱物資源、農産物などの商品)価格に影響される、という特徴があります。

さらに、オーストラリアは中国と関係が深いため、豪ドルは中国経済に大きく影響されます。

スイスフラン

永世中立国であるスイスで使われているスイスフランは、円と並んで避難通貨として知られています。

スイスフランショック

スイスは長らく、自国の輸出産業保護のため「1ユーロ=1.20スイスフランを割り込むような下落があれば無制限に為替介入と行う」という、スイスフランの通貨安政策を行っていました。

しかし、2015年1月15日にスイス国立銀行は突然この介入を止めると発表しました。

これにより、

急激にスイスフラン高が進み、為替相場は大パニックにに陥り、ユーロスイスフランは一瞬にして大暴落しました。

これが、いわゆるスイスフランショックです。

カナダドル

カナダは、原油埋蔵量世界第2位の資源国です。

資源国通貨であるカナダドルは、原油価格の変動による影響を大きく受けます。

つまり、原油価格が上がるとカナダドルも上がり、原油価格が下がるとカナダドルも下がる、という傾向があります。