50歳時点で一度も結婚したこと無い人の割合を意味する「生涯未婚率」が近年急激に上昇していることが、テレビニュースや新聞などでも話題になってます。
一生結婚をしないで独身のまま過ごし、結婚しない人生を歩む人は増える傾向にあり、結婚しないこともごく当たり前の世の中になりつつあります。
この記事では、おひとりさま女性が老後のために準備しておくべき資金について考えます。
生涯未婚率の推移
年 | 男性 | 女性 |
1950年 | 1.5% | 1.4% |
1955年 | 1.2% | 1.5% |
1960年 | 1.3% | 1.9% |
1965年 | 1.5% | 2.5% |
1970年 | 1.7% | 3.3% |
1975年 | 2.1% | 4.3% |
1980年 | 2.6% | 4.4% |
1985年 | 3.9% | 4.3% |
1990年 | 5.6% | 4.3% |
1995年 | 9.0% | 5.1% |
2000年 | 12.6% | 5.8% |
2005年 | 16.0% | 7.3% |
2010年 | 20.1% | 10.6% |
2015年 | 23.4% | 14.1% |
参照:総務省統計局国勢調査
2017年4月3日に国立社会保障・人口問題研究所(厚生労働省管轄)が発表した2015年度集計データによると、生涯未婚率は男性23.4%、女性14.1%となっています。
この数値は、男性で4.2人に1人、女性で7人に1人という割合です。
推移を見ると、1990年から急速に生涯未婚率が増加していることがわかります。
テレビなどの各メディアでは、少子化問題と絡めてこの数値の深刻さを報じています。
老後に必要な生活資金
では、生涯独身で「おひとりさま老後」を迎えた場合に必要な生活資金はいくらでしょうか。
2016年総務省発表の「家計調査報告(家計収支編)」によると、65歳以上の女性の単身世帯の消費支出額は年間約176万円となっています。
一方で、同調査によると65歳以上の単身無職世帯の家計収支(月額)は以下の通りです。
収入:11万6599円(うち社会保障給付10万9939円)
支出:14万1529円
非消費支出(直接税と社会保険税):1万2723円
つまり、1カ月あたり3万7653円の不足が生じていることになります。
このデータを基に、65歳で退職して90歳まで生きるおひとりさまが、老後の生活資金として準備すべき額を計算すると、およそ1,130万円になります。
ただし、この金額は一般に現役時代の70~80%程度と言われている「基本的生活費」を算出したものです。
安心で楽しい老後を過ごすためには、医療・介護費用やレジャー費用、交際費などの予備資金を上乗せする必要があります。
特に医療・介護費用は2人以上の世帯に比べ、どうしても他者に頼らざるを得ませんので、その分だけお金を必要とします。
さらに注意すべき点は、支出の中の住宅費は持ち家前提なので、賃貸の場合の家賃は含まれていないことです。仮に老後も賃貸で住み続けるとすると、さらに家賃分の支出が増えることを考えておかなければなりません。
老後の年金はいくらもらえるのか
一般的に、女性の年金収入は男性より少ない傾向にあります。
厚生労働省のデータで老齢厚生年金受給者の平均受給額をみてみると、男性が17万円ほどであるのに対し、女性は10万円強と男性の6割ほどしかありません。
これは、男性に比べて厚生年金の加入期間が短く、給料額も低いことが原因だと思われます。
同じデータでさらに詳しくみてみると、受給額が1万~10万円までの割合が半数を超えています(男性は12%ほど)。国民年金(老齢基礎年金)のみの平均受給額は5万円程度です。
つまり、女性の過半数が月10万円未満ということになるわけです。
そして、この金額はあくまで現在もらえる額であり、20代、30代の人が受給年齢に達する頃に同じ水準でもらえるとは限りません。
厚生労働省によると、20年から30年後には現在の受給水準の60%〜70%になると試算されています。
老後の資金計画は早めに
2016年厚生労働省発表の平均寿命は男性が80.98歳、女性は87.14歳となっています。
つまり、女性は男性より長生きな上もらえる年金額が少ないので、現役時代に男性よりも多くの資金を準備しなくてはなりません。
女性は二人に一人は90歳まで生きるとされています。老後のお金を考えるのであれば、最低限90歳までの生活費は準備しておきたいものです。
しかし、実際に準備を始めている人は多くないという調査結果があります。
年金シニアプラン総合研究機構が40、50代の独身女性を中心に調査したところ、「老後の生活費が不安」と答えた割合が9割近くでしたが、「老後の生活設計をまだ考えていない」との割合が未婚者全体の46%を占めています。
早いうちからしっかりリスクを取りつつ(もちろん、無制限にリスクを取っていいという意味ではありません)資産形成に励んでいくことが重要になります。
まとめ
65歳を過ぎても、元気で働けるのであれば働いて収入を得ることもできます。
また、現役時代に老後にも収入が入る仕組みを作っておいてもいいでしょう。
いずれにせよ、老後の資金計画は早めに立てるに越したことはありませんので、できることから始めてみましょう。