ビットコインは本当にバブルなのか





価格の高騰・暴落がニュースを賑わすビットコイン。

つい1年前までは1ビットコインが10万円程度だったのが、たった1年で最高20倍にまで値上がりしています。

この価格の急上昇を見て、ビットコインを「バブル」とみなす専門家も多いのです。

ウォーレン・バフェット氏「悪い結末をむかえる」

アメリカの著名投資家で大富豪のウォーレン・バフェット氏は、米CNBCテレビのインタビューで、ビットコインを含む仮想通貨全般に対し、「悪い結末をむかえるは確実」と発言しました。

また、「100%確実に」仮想通貨バブルがはじけるとも警告していますが、「それがいつ、なにがきっかけで、どのようなタイミングで起こるかは分からない」ことも認めています。

ただし、この発言の裏には、自身が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイの株主に対して、仮想通貨に投資をしない理由を説明するという意図があったのではないかとも一部では言われています。

実際、仮想通貨の投資家たちが1000%超のリターンを得ているのを横目に、巨額の利益を取り損ねたことに対する不満の声もあるといいます。

ビットコイン長者 「ビットコインに投資してはいけない」

ミレニアル世代のためのマネー情報サイト「Millennial Money」を運営しているグラント・サバティエ氏は、ビットコインで100万ドル以上を稼ぎだしたビットコイン長者です。

そんなサバティエ氏はビットコイン投資を、「間違いなく、今までで最も簡単なお金の作り方でした」とする反面、「ビットコインは買うな」という警告を発しています。

読者からビットコインや他の仮想通貨の投資に関する相談が寄せられるそうですが、「生涯分の貯蓄をビットコインに投資すべきか」「人生初の投資として5000ドルを投資すべきか」といった質問を、「どちらもひどい考えだ」と否定しています。

「もしビットコインを買うと決めたなら、純資産の1%以上を投資してはいけません。正直言って、ビットコインは投資ではなく、ギャンブルです」と述べています。

チューリップバブル

「チューリップ・バブル」は、17世紀のオランダで起きた、世界最初のバブルと言われています。

当時のオランダでは、スペインとの独立戦争が収束方向にあって、オランダの経済が活発になってきていたという時代背景がありました。

アムステルダムには、裕福で経験豊富な商人や貿易商であふれていました。

「チューリップはオランダ」というイメージがありますが、元々チューリップはオスマン帝国(現在のトルコ)からヨーロッパに広まったものです。

オランダの気候はチューリップ栽培に適していたので、貴族や富裕層の間で、観賞植物としてチューリップが流行していました。

彼らにとって、チューリップは当時、異国情緒あふれる珍しい花だったのです。

チューリップは、アブラムシが球根に運ぶウイルスによって突然変異しやすく、赤や黄色の普通のチューリップが、翌年に突然白と赤が複雑に混ざり合った模様になったり、炎状や羽状の模様になったりすることがあるのです。

珍しいチューリップの球根には高値が付けられました。

このような模様の突然変異は「ブレイク」と呼ばれる現象で、一度何かの拍子でキレイにブレイクすれば、誰でも大金が稼げる可能性があったのです。

しかし、当時の科学では、この現象がウイルスによって起きるということがわからず、チューリップが自らの意思で模様を変えているとさえ言われていたそうです。

こうして普通の一般市民も、先物取引での投機目的でチューリップの売買をするようになり、さらに価格が跳ね上がっていきました。

お金持ちたちは趣味として楽しんでいたため、球根価格が高騰してきた時点で冷静になっていましたので、チューリップ投資には手を出しませんでした。

その後、噂が噂を呼んで、オランダ中の都市にチューリップ・ブームが広まり、その価格は、どんどん上昇していきます。

チューリップ・バブルのピーク時には、珍しいチューリップは金よりも価値があったそうです。

暴落の理由は定かではありませんが、1637年 2月にある男が球根を買い、いつものように転売しようとしたところ、どういう訳か出来なかったことがきっかけと言われています。

「隣町で買い手がいなくなった」という噂が広まり、人々はパニック状態となり、誰もが直ぐに売ろうとしましたが、もはや高くなり過ぎたチューリップに買い手はなく、どうすることもできなくなりました。

一気に球根の値段は暴落し、最終的には最高値の100分の1以下になり、国中に破産者が続出しました。

バブルの発生原因

最初から転売目的で取引に参加する人々(投機家)が、市場に大量に参加し始めると、バブルが発生していきます。

新たに投機に参加してくる人々は、投資商品自体(チューリップ)の価値には全く興味がなく、金額だけで投資する傾向が強まっていきます。

これは、日本で起きた不動産バブルも同じ構造です。

それまで不動産なんて見向きもしなかった人たちが競うように土地を買い始めました。

「これから先、日本の土地価格は絶対に下がらない」

「今土地を買っておけば必ず値上がりする」

そんな「土地神話」を信じて、不動産関係者だけでなく、素人までもが買い上げることで土地の価格は大きく上がりました。

しかし素人が全員買いあげると後にはもう誰も買う人がいなくなります。

そうやって買い支える人がいなくなると「バブル崩壊」となって大暴落するのです。

ビットコインとの類似点

今のビットコイン相場の活況を、チューリップバブルに似ていると指摘する声もあります。

まず、 シカゴ・ オプション取引所(CBOE)やシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)がビットコイン先物取引を上場しました。

さらに、ナスダックでも2018年中にビットコイン先物取引が上場されると言われています。

元々ビットコインは、国境を越えた決済・送金手段として利用されることが期待されていましたが、 いつしか投機目的で売買されるようになり、 正式な市場で先物取引まで行われるようになりました。

日本でも、

「持っているだけで勝手に値上がりしていく♡」

として、普段投資に関わっていない、トレードの知識のない人たちも、こぞってビットコインの売買をしています。

チューリップバブルの時は、綺麗な花が咲くかどうかまだわからない、球根の状態に高値が付けられていました。

ビットコインでも同じことが言えます。

現段階では、送金や代金決済等への実用化はまだ進んでおらず、ブロックチェーン技術の今後の将来性は注目されていますが、もしビットコイン自体には実用性が無く、本来の価値以上の値段が付けられていると判断されれば、 チューリップバブルの二の舞になってしまうことも考えられます。

欧州中央銀行(ECB)のコンスタンシオ副総裁は、「ビットコインはチューリップのようなものだと言える。数日間で40%、50%上げ下げするものに賭けたい人のための投機手段だが、通貨でないことは確実だ。中央銀行や金融政策への脅威になるとは見ていないことは確かだ」と警鐘を鳴らしています。

まとめ

サバティエ氏の警告にもあるように、もしビットコイン投資に失敗して資金が回収できなくても、人生が変わらないような範囲内で投資すべきです。

短期的に価格は乱高下するのを覚悟で、

「暴落した〜!!」

と、価格の急落にいちいち反応してしまうような資金を使ってまで投資すべきではないと思います。

また、仮想通貨の中には詐欺まがいのものも含まれていますので、投資をする際には取引量が多いアルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)にした方がいいと考えています。

有名な相場の格言に、『相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく』というものがあります。

これは、アメリカの著名投資家ジョン・テンプルトンの言葉です。

はたして、ビットコインは幸福感の中で消えていくのでしょうか。