以前、投資家の集まる懇親会でたまたま席が近かった男性とお話をし、その場でLINEを交換しました。
その後連絡を取り合うことはなかったのですが、しばらく経ったある日「よかったらご飯に行きませんか?」とのLINEが来ました。
あまりに唐突すぎる、この手の誘いは嫌な予感がしたのですが、株式投資をしているという彼のお話は勉強になるかなと思い会うことにしました。
しかし予感は的中し、ネットワークビジネスの勧誘目的だったということがわかりました。
今までにネットワークビジネスの勧誘をされたことは何回もありますので、私の経験をふまえた勧誘のパターンと、もし勧誘を受けた時の対処方法について書きたいと思います。
ネットワークビジネスは法律上認められている合法的なビジネスです。
しかし私自身、一部のマナーを守らない(ルールを知らない)販売員の違法とも呼べる勧誘によって嫌な思いをしたので、この記事はネットワークビジネスに否定的な立場で書いています。
目次
ネットワークビジネスとは
まず初めにネットワークビジネスを簡単に説明すると、口コミによって商品を広めていくビジネスのことです。
別名MLM(マルチレベルマーケティング)やマルチ商法とも言います。
一般的な会社と違うのは、商品の販売と同時に購入者を「販売員(ディストリビューター)」として起用し、またその販売員はさらに別の人を販売員として勧誘していくということをどんどん繰り返し、ピラミッド型の販売員組織が出来上がるという点です。
ネットワークビジネスの歴史
ネットワークビジネスはアメリカが発祥といわれています。
1934年アメリカのカリフォルニア州を本拠地とする「カリフォルニアビタミン」というビタミン剤の会社が、世界で初めてネットワークビジネスを展開したと言われています。
この会社は1945年に「ニュートリライト・プロダクツ」に改名します。
その後、1959年にニュートリライト・プロダクツ社で内部紛争が起こり、2人の販売員が独立する形で、現在世界最大のネットワークビジネスの会社であるアムウェイ社を設立しました。
後にアムウェイ社は、 ニュートリライト・プロダクツ社をM&Aで吸収合併します。
日本で一番最初にスタートしたネットワークビジネスは、1963年にアメリカより伝わったタッパーウェアの会社「日本タッパーウェア」です。
タッパーとは、料理などを保存する時に利用されるプラスチック製の容器のことです。
この商品自体が広く浸透したため、プラスチック製の容器のことを一般的に「タッパー」と呼ぶようになりました。
その後、1979年に日本アムウェイが誕生し、アムウェイの販売員である中島薫(なかじまかおる)氏によって、80年代〜90年代にかけて、アムウェイとネットワークビジネスの市場が急速に拡大していきました。
現在では日本国内だけでも、ネットワークビジネスの会社は数千社あるともいわれています。
ネットワークビジネスの儲かる仕組み
ネットワークビジネスは個人でフランチャイズ店のオーナーになるようなもので、販売員は製品を友人・知人などに紹介し、販売・成約する事でメーカーから製品の販売価格の何%かを報酬として得るという仕組みです。
また、ネットワークビジネスの特徴は、自分自身が直接成約していない人の部分も報酬として貰える事です。
自分が製品を販売した友人・知人がその商品を気に入って、その人も販売員になって直接商品を購入すると、会社側から会員紹介の報酬として売上の数パーセントが自分に支払われるという仕組みです。
さらに、紹介した人が次に紹介した人も、その人がまたさらに紹介した人からも数パーセントが入る仕組みになっているので、ピラミッド式により大きな組織になっていく可能性があります。
また、たいていのネットワークビジネスの会社は、一定の成果を上げた販売員を「タイトル」で区分けします。
そして、タイトルごとに平均年収を公開して、販売員のモチベーションをあげるのです。
これだけを見ると一攫千金を夢見てネットワークビジネスの世界に飛び込もうとするかもしれませんね。
ネットワークビジネスは違法ではない
このような手法は世間では評判が悪く「詐欺なんじゃない?」と思われるかもしれませんが、販売行為自体は違法ではありません。
ではなぜここまで悪いイメージがついてしまっているのでしょうか。
それは、一部の販売員による違法な勧誘行為があるからです。
ネットワークビジネスにはまる人の特徴
相手は初めネットワークビジネスの勧誘目的であるということを隠して近付いてきます。
何度か会って仲良くなり信頼関係が築けたところで「実は、とてもいいビジネスがあるので一緒にやってみない?」というような流れになることが多いです。
ネットワークビジネスの勧誘をしてくる人には一定の特徴というものがありますので、以下のどれかに当てはまったら、まずは疑ってみてください。
突然食事やお茶に誘ってくる
学生時代の友達や1回しか会ったことのない人から突然連絡が来たら、まずはネットワークビジネスの勧誘を疑います。
なぜなら、成功するためには自分の紹介でたくさん会員を集めなければならないため、手当たり次第に勧誘しなくてはいけません。
中には純粋に久しぶりに会いたいという人もいるかしれませんが警戒しましょう。
会社員についての不平・不満を述べる
相手が会社員であった場合、このまま会社員として働いていても給料も増えないし、いつリストラされるかわからないというような、将来の不安を煽るようなことをよく言います。
金持ち父さん貧乏父さんについて熱く語る
本自体は良書ですし、ネットワークビジネス以外で成功している方もよく読まれている本です。
しかし、相手の口から「不労所得」や「ビジネスオーナー」という単語がやたらと出てきたら要注意です。
やたらと人に会わせたがる
別に会いたいとも頼んでないのに、「ビジネスで成功したすごい人がいる」などと言ってやたらと人に会わせたがります。
そして、ネットワークビジネスの勧誘と隠して人に会わせること(ブラインド勧誘)は禁止されているので、あくまでこちらから「そんなすごい人なら会ってみたい!」と言うのを待つというスタンスです。
素直で人を疑わない
ネットワークビジネスにハマりやすい人は、素直でいい人が多いという特徴があります。
なので、一部の成功者と呼ばれる人たちの話を「自分も頑張れば成功者になれる!」と信じて疑っていないのです。
自己啓発が好き
ネットワークビジネスにはまる人は、とにかくみんなポジティブで夢を熱く語ります。
そして、自己啓発の分野や目に見えない世界の話が大好きです。
成功者の話を聞いて、自分もこんな人になりたいと奮い立たせているのかもしれません。
このこと自体は決して悪いことではありませんし、ポジティブに物事に取り組む姿勢は素晴らしいと思います。
ただし、本を読んだだけの知識や成功者の受け売りの話が多かったりするので、行動が伴っていないと「口だけの人だ。」と評価されたりもします。
ネットワークビジネスの勧誘の断り方
ネットワークビジネスに勧誘され、あなたに始める意思がないのならキッパリと断る勇気を持ちましょう。
曖昧な態度では見込みがあると思い、何度もしつこく勧誘されることがあります。
はっきりと断ったのに何度も勧誘してきた場合は法律違反になります。
(2) 再勧誘の禁止等(法第3条の2)
事業者は、訪問販売を行うときには、勧誘に先立って消費者に勧誘を受ける意思があることを確認するように、努めなければなりません。
消費者が契約締結の意思がないことを示したときには、その訪問時においてそのまま勧誘を継続すること、その後改めて勧誘することが禁止されています。
引用:特定商取引法三条の二
もし、不幸にもなんらかのトラブルに巻き込まれたら消費者生活センターに早めに相談しましょう。