毎年10月頃になると、保険会社から生命保険料控除証明書送られてきます。
なんだかよくわからないし、面倒だからと手続きしないでいるともったいない!
また、なんとなく手続きしているけど、どれだけ節税効果があるのかわからないという声もよく聞きます。
そこで、生命保険控除とはどんな制度なのかを整理します。
目次
生命保険料控除とは?
生命保険料控除とは所得税や住民税における所得控除の一つで、支払った保険料に応じて、一定額が所得から控除される(税金が軽減される)制度です。
生命保険料控除は、会社員であれば年末調整で、自営業の人であれば確定申告で申請し、結果として所得税や住民税が安くなります。
一言で生命保険料控除といっても、生命保険の契約時期で控除の種類・金額が変わってきます。
具体的には、平成23年以前の契約については旧制度が適用され、平成24年以降の契約では新制度が適用されます。
新制度(新契約):平成24年1月1日以後に契約した生命保険が対象
自分が入っている保険がどちらに当てはまるかわからなければ、保険証券に書いてある契約日を調べるといいでしょう。
もしくは、保険会社から送られてくる控除証明書に「新契約」「旧契約」などと明記されているはずです。
生命保険料控除の対象者
保険を契約する際は次の3つの名義を指定します。原則として、保険料を支払う義務は契約者本人にあります。
契約者:保険会社と契約を結んでいる人
被保険者:その保険によって保障される人
保険金受取人:保険金を受け取る人
生命保険料控除を受けられるのは、生命保険料控除の対象となる生命保険料を「実際に払っている人」です。
生命保険料控除の対象となる保険
生命保険料控除は、対象となる保険の種類によって次の3種類に分けられます。それぞれの違いは保険の保障内容です。
この3区分にどれに当てはまるかは、国の定める細かいルールに従って判断されます。
すでに加入済みの保険については、保険会社から送られてくる生命保険料控除証明書を確認すればわかるようになっています。
一般生命保険料控除
人の生死にかかわる保険、主に死亡保険の保険料が控除されます。
変額個人年金保険や個人年金保険料控除に該当しない個人年金保険なども一般の生命保険料控除となります。
介護医療保険料控除
入院・通院などの医療費の支払いに対して保険金等が支払われる保険、いわゆる医療保険、がん保険、介護保険等の保険料が控除されます。
個人年金保険料控除
将来年金を受け取れる保険のうち、一定の条件を満たして個人年金保険料税制適格特約をつけた保険の保険料が控除されます。
生命保険料控除額
旧制度の生命保険料控除
旧制度では、一般生命保険料と個人年金保険料という2区分があり、所得税で最大10万円、住民税で最大7万円の所得控除が受けられます。
所得税
25,000円以下:払込保険料の全額
25,000円超50,000円以下:支払保険料×1/2+12,500円
50,000円超100,000円以下:支払保険料×1/4+25,000円
100,000円超:一律50,000円
住民税
15,000円以下:払込保険料の全額
15,000円超40,000円以下:払込保険料×1/2+7,500円
40,000円超70,000円以下:払込保険料×1/4+17,500円
70,000円超:一律35,000円
新制度の生命保険料控除
新制度では、一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料と3区分になり、所得税で最大12万円、住民税で最大7万円の控除となります。
所得税
20,000円以下:払込保険料の全額
20,000円超40,000円以下:払込保険料×1/2+10,000円
40,000円超80,000円以下:払込保険料×1/4+20,000円
80,000円超:一律40,000円
住民税
12,000円以下:払込保険料の全額
12,000円超32,000円以下:払込保険料×1/2+6,000円
32,000円超56,000円以下:払込保険料×1/4+14,000円
56,000円超:一律28,000円
旧制度と新制度の保険契約が混在している場合
一般の生命保険料控除と個人年金保険料控除は新旧どちらの制度にも存在します。そのため、旧制度が適用される保険と新制度が適用される保険の両方に入っている方もいるでしょう。
この場合、次の3つから生命保険料控除の適用方法を選ぶことができます。ちょっと面倒ではありますが、実際に計算してみて最も控除額の多いパターンを選ぶのが賢明です。
・旧制度の生命保険料控除だけを適用
・新制度の生命保険料控除だけを適用
・新旧両方の生命保険料控除を組み合わせて適用
新旧あわせて適用できる上限額は所得税で12万円、住民税で7万円です。
生命保険料控除の手続き
会社員の場合
生命保険会社の発行する「生命保険料控除証明書」を「給与所得者の保険料控除等申告書」に添付し、勤務先に提出して年末調整で控除を受けます(給与天引きにより保険料を払い込んでいる場合は、「生命保険料控除証明書」の添付は不要です)。
- 給与の年間収入額が2,000万円を超える場合や、年末調整で生命保険料控除を受けていない場合などは、確定申告になります。
自営業者等の場合
翌年2月16日から3月15日までの所得税の確定申告において、「生命保険料控除証明書」を確定申告に添付して控除を受けます。
まとめ
生命保険料控除は、対象となる生命保険に入っていれば自動的に適用されるわけではなく、自分で手続きをする必要があります。
毎年保険会社から送られてくる控除証明書は大切に保管し、忘れずに手続きしましょう。
※国税庁のホームページで一定の手続きが必要です。