エリオット波動理論は、人間の心を反映して動くチャートのパターンを分析する手法です。
この理論はFXだけでなく、株式・商品先物取引・債券など、人が取引する全ての相場に使われ、時間軸の長短も問いません。
また、多くのトップトレーダーと呼ばれる人たちは、エリオット波動理論を長い年月をかけて習得し、大金を稼いでいるとも言われています。
エリオット波動理論とは
エリオット波動理論は、「人間の感情の起伏には一定のリズムがあり、人間の感情を映すチャートの動きには予測可能な波動のパターンがある」と推測し、1000年単位の歴史の周期まで視野に入れた壮大な理論とも言われています。
この理論は、アメリカ人のラルフ・エリソン・エリオットによって考案されました。
エリオットは元々は会計士でしたが、重い病を患って会計士を引退して投資家に転向し、その後は生涯を通して相場の値動きの研究に没頭しました。
エリオット波動理論は、1929年の世界大恐慌や、1987年のブラックマンデー大暴落を見事に的中させ市場の注目を浴びる契機になりました。
さらに、1990年代にアメリカで行動経済学の一大ブームが起きたときに再評価され、現在でも多くの投資家に活用されています。
エリオット波動の基本形
エリオット波動論の基本的な考え方は、「上昇5波動」(衝撃波)と「下降3波動」(修正波)を1つのサイクルとして繰り返していくという考え方です。
強気相場
強力な材料が出て強気の上昇トレンドが発生したとしても、相場は一辺倒に上昇を続けることはなく、人の心と同じように揺れ動き、懐疑し、楽観し、リスクを恐れるような動きをします。
エリオット波動理論では、強気相場は合計5つの波動で形成されると考えます。
第1波
上昇の初期で、じわじわとした動きになるため、ここで上昇トレンドに入ったと認識する人はほとんどいません。
3つの上昇波の中で一番短くなる傾向が強いです。
第2波
第1波の上昇に対する反落となる局面です。
様子見をしたり、第1波で買っていた投資家の利益確定が入り下落はしますが、第1波の底値を下回らないのが特徴です。
第3波
通常この第3波は強力な波で、第1波を超えて長期間にわたって上昇をしていくため、多くの投資家が上昇トレンドに入ったことを認識します。
プロトレーダーは、一番長く強い波動である第3波で利益を狙う傾向にあります。
第4波
第3波の上昇に対する調整の下げとなり、乱高下が続く複雑な動きになりやすいです。
利益確定の売りと、遅れてきた投資家の買いが拮抗する局面で、押し目を形成しますが一時的な調整となるのが特徴です。
第5波
第4波の調整から再度大きな上昇局面に入る波です。
多くの投資家が参加し、大きく売買がされますが、冷静なプロトレーダー達はここで利益確定をして、売りでエントリーを始めます。
弱気相場
A波
下降トレンドに入った最初の下落で、投資家はまだ強気です。
上昇局面でも一時的な調整が入ることがあるため、ここで下降トレンドに入ったと気づきにくく、単なる押し目と判断されることが多いです。
B波
A波の下落に対する反発の波で、B波の高値が第5波の高値を超えることもあります(イレギュラートップ)が、高値はすぐ戻ることになります。
上昇トレンドなのか、下降トレンドなのか見極めが難しいのが特徴です。
C波
下降トレンドになったことが明確になる波です。
加速度的に価格が下落し、C波の終盤には市場全体が弱気になっています。
エリオット波動の応用
チャート分析をしていると、日足では上昇しているのに、違う時間足で見ると下落しているといった場面がよくあります。
なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。
実際の相場には、大きな値動きの中に、いくつもの上下した波動が存在しています。
つまり、大きなエリオット波動の中に、小さなエリオット波動が入っているということです。
これを、「フラクタル構造」といいます。
自然界で言えば、小さな雪の結晶が集まり、1つの結晶になり、さらにその結晶が集まって大きな結晶が出来るというのと同じです。
これが理解できれば、1つの時間足だけでなく、複数時間軸でチャートを分析をすることが重要であるということがわかると思います。
まとめ
エリオット波動理論は非常に奥が深いですので、ここで紹介したのは基本中の基本です。
しかし、多くのトレーダーがなぜ時間を費やしてエリオット波動理論を勉強するのかというと、これが理解できれば決定的な判断ミスを防ぎ、非常に稼げる理論だからです。
興味のある方は、エリオット波動を真剣に学んでトレードに生かしてみてください。