読売新聞は2018年1月4日付けで、『「ブロックチェーン」技術を使い、銀行間の送金手数料を大幅に安くできるサービスが今年3月にも一部の銀行間で始まる見通しとなった』と報じました。
これが実現すれば利用者にとっては嬉しいことです。
では、「ブロックチェーン」とはどのような技術で、銀行の送金システムはどう変わるのでしょうか。
現在の銀行間の送金システム
現在、振込や国内の為替取引を行うために使われているのが、「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」と呼ばれるオンラインのデータ通信システムです。
個人や企業などが銀行に振込依頼をしたとき、この全銀システムを使って銀行同士の決済を行うという仕組みです。
出典:全国銀行協会
三井住友銀行に口座を持つAさんが、みずほ銀行のBさん名義の口座へ振込の依頼をした場合を例にします。
まず三井住友銀行は、全銀システムを通して振込依頼のデータをみずほ銀行へ送るのと同時に、Aさんの口座から振込のための資金を引落します。
みずほ銀行では、三井住友銀行から送信されたデータを受信すれば、Bさんの口座へ資金を振り込みます。
この一連の為替取引に伴う資金決済は、三井住友銀行とみずほ銀行の間で、日銀の当座預金口座間の振替により行われます。
しかし、この方法では手数料も高く、時間もかかってしまいます。
ブロックチェーンとは
ブロックチェーンとは、仮想通貨「ビットコイン」の根幹技術であり、金融とテクノロジーを掛け合わせたフィンテックにおいて重要な技術と言われています。
ブロックチェーンは、ビットコインを開発した謎の開発者、サトシ・ナカモトが2009年に提出した論文が元になっています。
分散型台帳
ブロックチェーンとは、コンピュータのネットワーク上で、残高、送金履歴などの取引情報を低コストで管理し、変更不可能な分散型台帳技術のことです。
ビットコインのブロックチェーンでは、2009年1月3日に誕生してから現在までの、全ての取引履歴が記録されています。
一定期間内の取引は「ブロック」という単位に分けられていて、このブロックが1つ1つチェーンのように繋がって全体を構成しているので、ブロックチェーンと呼ばれています。
非中央集権型
ブロックチェーンは、不特定多数のコンピュータ上で、多数の参加者が暗号化された取引記録を共有し、ユーザー同士がみんなで監視し合うという仕組みです。
政府や銀行などの中央機関が介入せず、取引に関するデータが分散し、すべての人がデータを確認できるという意味で「非中央集権型」と言われます。
まとめ
現在、ブロックチェーン技術がさまざまな分野で実証実験が行われ、実用化が進められています。
世界経済フォーラムが2016年8月にに発表した報告書によると、『手数料が発生し、複数のステップを経て行われる国際収支や電信送金、長く効率の悪いプロセスを経る銀行の当局へのコンプライアンス報告など、基本的な財務サービスの一部がブロックチェーンに置きかわるだろう』予想されています。
ブロックチェーン技術の実用化が進めば、金融の未来を変えることになるかもしれません。