外国為替の市場参加者
為替市場で資金を動かすプレイヤーの思惑は、主に「実需」と「投機」の2つに大別されます。
実需筋
実需筋とは、輸入・輸出業者や商社等の、実際に外貨を売り買いする必要のあるプレイヤーのことをいいます。
例えば、日本の輸出企業がドルで受け取った売上金を日本円に換えたり、海外旅行へ行くときに日本円を外貨に両替するような取引のことです。
為替市場ではその割合は1割程度といわれています。
投機筋
投機筋とは、売買の差益を狙う目的で参加しているプレイヤーのことをいいます。
為替取引で莫大な利益をあげるヘッジファンドや、個人のFXトレーダーもこちらに分類されます。
為替市場のプレイヤーは、投機目的が実に9割だといわれています。
つまり、短期的に相場を動かす力は、圧倒的に投機筋の方が大きいといえます。
銀行
外国為替市場において、最も大きなプレイヤーは銀行であり、マーケットメイカーの役割を担っています。
中央銀行
日本銀行、アメリカのFRB等の中央銀行は、行き過ぎた為替変動に対して、それを是正するために為替介入を行うことがあります。
また、実際に介入を行わなくても、政府首脳や金融当局者の発言だけで、為替レートの変動を意図することを口先介入といいます。
アメリカのトランプ大統領は『日本は通貨安を繰り広げている』などと、日本の為替政策を批判しています。
本来、一国の大統領が、他国の為替政策に対して公に発言をすることは厳に慎むべきなのですが、これも口先介入の一例でしょう。
機関投資家
機関投資家(ヘッジファンド、証券会社、保険会社、年金基金等)は、銀行の顧客となり、間接的に為替市場を動かします。
個人投資家
FXの普及により、為替市場での個人投資家の存在も無視できなくなりました。
一人当たりの取引額は小さくても、全体を合わせると大きな額となります。
ミセスワタナベ
「ミセスワタナベ」とは、FXを手掛ける日本の個人投資家の総称で、「キモノトレーダー」と呼ばれたりもします。
男性であっても、未婚であっても関係なく、そう呼ばれます。
この言葉が生まれたのは、2007年頃だといわれています。
外国為替市場では、「東京時間になると、明確な材料がないのに円安に向かう傾向がある」という不思議な現象起きていました。
その原因を探っていくと、日本の個人投資家が東京時間になると、主にスワップポイント狙いで、一斉に円を売ってドルなどの高金利通貨を買っているということがわかりました。
このような、世界の為替市場を動かすほどの影響力を持つ日本の個人投資家のことを、イギリスの経済誌エコノミストが「ミセスワタナベ」と命名して紹介しました。
ちなみに、なぜ「ワタナベ」なのかというと、海外でよく知られた日本人の名前ということで付けられたようで、特定の人の名前ではありません。
日本経済新聞でも『ミセスワタナベ、年初来最大のドル売り』というような見出しの記事を掲載しており、マスコミや金融関係者、海外のディーラーの間でも、この呼び名が広く浸透しています。